『の』の会話
最近、ご家族や支援機関、研修受講生から「〇〇と話ができないです。どうしたらいいでしょうか?」と相談を受けます。○○には、自分の子どもや利用者、会社の上司や同僚など様々な方が入ります。
会話の際、「話ができない」という表現には、①意見が伝わらない(発信)、②話を聞いてもらえない(受信)の2つの要素が含まれているように思います。私は、①も大事だと思いますが、信頼関係を築くためには②の方が大事だと感じています。
では、②話を聞いてもらえないと感じた時の、こちら側の“きく態度”はどうでしょうか?
「きく」とは漢字で書くと、「聞く」と「聴く」があります。
ネットで検索すると、興味深いページがありました。
〇こちら側(自分)から情報を「ききに行く」=「聴く」と表現します。
例)お医者さんの聴診器は、患者さんの体内の音を外からききに行くので「聴く」と表現します。
〇反対に、向こう側(相手)から「きこえて来る」=「聞く」と表します。
例)お医者さんから病状の説明をきいている私たちは「聞いている」と表現します。
みなさん、相手から話しをされた内容について、自分から“聴こう”としていますか?
相手から“聞いた”内容から、結果だけを伝えていませんか?
>相手「学校(仕事)に行きたくない。」
<自分「行きなさい。」
>相手「・・・」(何も言えない。)
自分が話をしたいときに、日ごろ「聞く」姿勢だけで対応していたらどうでしょうか?
・どうこの人に話をしても無駄。
・どうせ言っても反応や対応してもらえないから。
・私のことなんて興味ないんだ。
聞いてもらえない相手もきてもらえないと思っているかもしれません。
そう考えると、返答の仕方が大事になります。結果だけを伝える命令的で指導的な返答から、共感的な自分自身のこととして考え感じ理解する返答に変えるとどうでしょうか?
共感的な返答を意識する際に、ぜひ『の』を使ってみてください。
>相手「学校(仕事)に行きたくない。」
<自分「学校(仕事)に行きたくない の?」
>相手「だって、・・・。」
<自分「だって、どうした の?」
>相手「だって〇〇の勉強が大変で…」
『の』を使うことで、話が具体的になるため、“聴く側(自分)”も、“聞かれる側(相手)”も、頭の中を整理しモヤモヤの原因に辿り着けるかもしれません。また、同意するのではなく、共感の言葉で返答を心がけて頂くと少しは話ができるかもしれません。
時と場合によりますが、このように、ただ「聞く」だけではなく、「聴く」姿勢をみせ相手の言葉を受け止めることで、信頼関係ができ意思疎通が取れた会話ができるかなと思います。
会話は、「私」ではなく、相手がどう感じるか?が大事だと私は考えています。