危機における対応と予防
- 地震発生における予防と対応
- 警戒宣言が出された場合の対応
- 火災時における予防と対応
- その他の自然災害における予防と対応
- 事故発生時における予防と対応
- 事件発生時における予防と対応
- 光化学スモック等大気汚染発生時における予防と対応
はじめに・・
このマニュアルは、すべての職員が火災、災害、事故、事件等のあらゆる危機に対して的確かつ迅速に対応・予防するために必要な事項を定め、児童・保護者・職員の生命及び健康を守ることを目的とする。
危機発生時において児童・保護者・職員の生命の保全を最大の目的とし指揮しなければならない。
危機における予防と対応
地震発生時の予防と対応
(1) 予防(事前の環境整備)
消防防災計画規定第22条に基づき、事業所で行う震災避難訓練は、大規模地震時において、子どもの生命を守るための具体的な方法を職員一人一人及び児童が身につけるためのものである。そのためには、いつ地震災害が発生しても適切な対応ができるように環境を整えておくことが大切である。また、近隣住民との合同で避難訓練を実施するなど、地域と密接な協力・連携ができる関係を築いておくことも必要である。
① 避難訓練実施計画
・併設施設や近隣住民、又は消防署との合同で地震を想定した訓練を実施する。
・緊急避難訓練を実施する。
・安全確認訓練を実施する。
・避難通路・経路の確認をする。
・災害非常持ち出し袋の中の備品や毛布の使用方法を習得する。
・地震発生時における各職員の役割分担を確認する。
②施設設備の点検等
・地震時に、転倒しやすい家具・電化製品・備品などの転倒防止がなされているか点検する。
・地震後に、万一出火した時に備え、消化器の所在を確認しておくとともに、正しい使用方法を習得し使用できるようにする。
・避難経路に障害物等がないことを常に確認する。
・防火責任者を明示し、責任をもって日常の点検と整備をきちんとする。
・指導員は、日常の療育環境を整備しておくとともに、日頃の療育の中で子どもの行動特性をしっかりと把握する。
・緊急時連絡掲示用の掲示を用意しておく。
(2) 大地震発生時の対応
① 事業所内で地震がおきた場合
・避難誘導・救護係(指導員)は、児童が安心できるようなことばをかけ、具体的に姿勢を低くして落下物から身を守るよう指示して、緊急避難させる。
・避難誘導・救護係(指導員)は、棚・電球・窓ガラス、その他倒れやすいものなどから 児童を遠ざけ、落下物から身を守る対応をする。(毛布・布団等を利用)児童及び職員は、机やロッカーなどの下に身を隠し、揺れが収まるまで様子を見る。
・職員はできるだけ、速やかに戸やサッシ等を開けて避難口を確保する。
・介助を必要とする児童は 職員がおぶったり抱いたりして安全な場所に避難させる。
・揺れが収まったら、一時駐車場へ避難し、全児童と職員の安全と人数の確認を行い、初動消火係と情報伝達・指示係で施設の点検をし、管理者又は代理へ報告する。
・避難誘導・救護係(指導員)は指示があるまで駐車場で座って待機する。事業所内には安全が確認できるまでは立ち入らない。
・初動消火班は、速やかに火の元を閉じ、揺れが収まってからガスや配電盤を点検し、安全を確認する。もし、事業所内及び近隣において火災が発生した場合は消火活動を行う。
② 事業所外で地震がおきた場合
・揺れを感じたらただちに児童を集めて、できるだけ塀や建造物から遠ざけ、安全な場所に集めしゃがんで座り、児童が安心できるようなことばをかけ、揺れの収まりを待ち、その後速やかに指導員は児童の安全確認を行う。
・地面の亀裂・陥没・隆起・頭上の落下物に注意する。
・ブロック塀・自動販売機・屋根瓦・ガラスその他落下及び転倒物に注意する。
・切れた電線には絶対触らないよう児童に注意する。
・携帯電話で事業所(代表)に連絡を入れ、必要な場合は事業所に応援を要請する。指導員は児童とともに近隣の安全な場所で一時待機する。
・全員が無事で自力で戻れるようなら安全を確認しながら、慎重に事業所に戻る。
⑤ 避難
大地震が起きてもすぐに事業所を離れるのではなく、事業所や周囲が火災発生したり、そのおそれがある時や事業所の被災が大きく危険であると判断した時に、第2次避難地や行政の指定する震災救援所等の一時集合場所に避難する。
1)震災救援所への避難
事業所より避難の際は、行政が事前に指定する震災救援所へ、状況を確認しながら避難する。日頃より経路を把握し、児童を安全に誘導できるように、列を維持しながら前後にできるだけ複数の職員を配置して移動する。また、避難する際は、児童の安全確保を第一とするが、緊急連絡先一覧、非常持ち出し袋(避難確保資器材)等、最低限の物を持ち出す努力をする。
2)広域避難場所などへの避難
周囲に大火災が発生した場合、地域の人と一緒に防災市民組織や消防・警察等の誘導により、他の震災救援所や広域避難場所に避難する。
⑥ 児童又は職員が負傷した場合
1)応急処置は、日頃より事業所に備えてある救急薬品で手当する。
2)さらに救命・救急措置が必要な重傷者・重篤者は、医療施設に搬送し、治療を受ける。
火災時における予防と対応
消防防災計画規定第22条及び児童福祉施設最低基準第6条に『避難及び消火に対する訓練は、少なくとも毎月1回は、これを行わなければならない』と規定されている。事業所で行う避難訓練は、様々な災害時に子どもの生命を守るための具体的な方法を職員一人一人が身につけるためのものである。そのためには、いつ災害が発生しても適切な対応ができるように環境を整えておくことが大切である。また、近隣住民との合同で避難訓練を実施するなど、地域と密接な協力・連携ができる関係を築いておくことも必要である。
(1) 事前の環境整備
① 避難訓練実施計画
1)近隣住民との合同で、様々な火災状況を想定した訓練を実施する。
2)消火訓練を実施する。(初期消火・消火器・消火栓の取扱いなど)
3)通報訓練を実施する。(消防署・近隣住民)
4)避難通路・経路の確認をする。
5)火災報知設備及び非常ベル、非常通報装置の使用方法を習得する。
6)火災発生時における各職員の役割分担を確認する。
② 保護者への事前連絡
1)保護者へは、事前に緊急時における児童の対応及び避難先を周知する。
2)保護者からは毎年4月に携帯等の緊急時連絡先を聴取するとともに、緊急連絡先一覧 の確認と訂正を行い、事業所において非常持ち出しができるよう整理集約をする。
③ 施設設備の点検等
1)出火元となりやすい電化製品・ガス器具・コンセント・配線、配電盤等の正しい使用方法の習得及び正常に作動しているか点検する。
2)万一出火した時に備え、消化器の所在を確認しておくとともに、正しい使用方法を習得し使用できるようにする。
3)避難経路に障害物等がないことを常に確認する。
4)防火責任者を明示し、責任をもって日常の点検と整備をきちんとする。
5)指導員は、日常の療育環境を整備しておくとともに、日頃の療育の中で子どもの行動特性をしっかりと把握する。
6)緊急時連絡用の掲示をする。
(2) 火災発生時の手順
① 発生時の基本的な流れ
火災発見 → 報告 → 通報連絡 → 避難誘導 → 初期消火
② 療育中に火災が発生した場合
1)火災の発生を発見したら(第一発見者)大きな声で周りの職員に知らせる。
2)知らせを受けた職員は、速やかに管理者及び他の職員に火災の発生を知らせる。
3)第一発見者及び知らせを聞いた職員は、可能な限り初期消火に努める。
4)各職員は、管理者又は代理の指示に従い無駄なく的確な行動をする。
5)消防署への通報
6)子どもの避難誘導(子どもの人数の把握及び責任者への報告)
7)地域住民・関係機関への連絡
8)落ち着いて行動することを心がけ、子どもに動揺を与えないように努める。
9)出火元・火のまわり具合・煙・風向き等を考え、より安全な方向場所に避難する。
10)安全な場所まで避難した後で、状況により保護者に連絡をし、子どもの引き渡しをする。(保護者の緊急連絡網及び園児居住地一覧は必ず持って避難する)
11)火災により翌日以降療育を行うことが困難な場合は、管理者より行政に連絡し今後の対応について相談する。
その他の自然災害の予防と対策
(1) 風水害及び台風
① 事業所で療育中に風水害及び台風が発生した場合
・強風や大雨の際は、訓練室で児童が落ち着けるように配慮する。
・風で飛ばされるような植木や玩具・その他飛ばされやすいものなどを点検し撤去する。
・漏水等を発見したら速やかに事務所へ報告する。
・窓からできるだけ離れた場所で過ごすよう配慮する。
・停電の可能性も視野に入れ懐中電灯も確認と点検をする。
② 営業開始前に風水害及び台風が発生した場合
・出勤前の職員はラジオ・テレビ等で情報を把握して早めの出勤を心がけるよう配慮する。
・交通機関を利用する職員で災害等で交通機関が不通になった場合は、できるだけ事業所に連絡を入れてから一旦、自宅へ戻り、災害の状況を把握して安全な状況になってから出勤すること。
・児童の受け入れは、基本的に事業所に異常がなければ、通常の療育を行うが、状況を確認後、早期に営業をするか連絡する。
③ 風水害等により事業所に被害が出た場合
・風水害等により事業所に被害が出た場合、児童の安全を最優先に被害のない箇所にて療育を行い、できるだけ早く保護者にお迎えの連絡をして引き渡すこと。
・翌日以降の事業所の業務ついて管理者は、速やかに決断して保護者と職員に周知できるよう掲示及び連絡すること。
(2) 落雷
落雷は、発生する前に雷雲が発生し、天候のくずれから予測することができるので、事業所内にいる場合は建物へ速やかに避難し、療育等の時に落雷の虞を予測した場合は、以下のことを頭に入れて避難するのが望ましい。
① 事業所で療育中に落雷が発生した場合
1)落雷時前後は雨が降ることが予想されるが、雷(電流)は、物体の中を流れるとき、表面の方を多く流れ、中心部を流れる電流は少なくなるという表皮効果があり、このために雨宿り等で軒先や柱にいることは大変危険であるので待避場所は慎重に選択しなければならない。
2)周囲の木より高い木の幹に寄りそい雨宿りすることも前項の理由による避けること。
事故発生時における対応と予防
事業所における子どもの事故は、発育発達と関連するものが多く、十分な予防や対策を実施すれば大部分は防止可能である。また、事業所が子どもの保護者に対して事故防止を啓発・教育することも重要な役割であり、子どもを扱う全ての職員が連携し、 事故防止に努める必要がある。そのためにも職員は、事故発生時に備えて応急手当や適切な事故 対応・保護者対応を身につけておくことが大切である。
(1) 事故発生時の対応
① 事故発生時の基本的な流れ
事故発見 → 事故児への対応 → 応急手当・状態の観察
→ その他の児童への対応
→ 連絡・通報 → 管理者 → 保護者
→ 関係機関・救急車
→ 代表
② 事故発生時の対応
1)管理者又は代理は事故の状況を速やかに把握し、記録する
ア 事故の状況・原因・場所・時間
イ 子どもの状態(出血や打撲の有無・顔色・全身の状態)
ウ 事実に基づいた記録(とりあえず、メモ・走り書きでもよい)
2)協力者・応援者を求める
ア 必要処置の判断は、単独で行わない。
イ 日頃から、連絡の分担など対応の仕方を、全職員で確認する。
3)医療機関への受診は保護者より事前にかかりつけ医などを確認し、受診する旨の承諾を得てから医療機関にかかる。
4)下記のような症状の場合は、救急車を要請し、すぐに医療機関に受診する。
ア 意識がもうろうとしたり、うとうとしている。
イ 顔色が悪く、ぐったりとしている。
ウ けいれん、ひきつけを起こしている。
エ 出血が止まらない。
オ 吐き気や嘔吐を繰り返している。
カ 化学物質を誤飲した。
キ 熱傷や火傷の面積が広い。
5)医療機関へ受診する際は、管理者又は児童発達管理責任者が付き添い、処置に必要な情報と子どもの既往歴やアレルギーの有無、体重などを医師へ伝える。
6)保護者への対応は、事故の発生状況・医療機関の診察・検査結果・今後の受診・費用等をきちんと説明し理解を求める。いかなる状況の事故であっても、療育時間中に発生した事故である以上は、細心の注意と誠意をもって対応する。
7)管理者又は児童発達管理責任者は、事故後、速やかに〖事故報告書〗を作成し、事故発生の状況分析を行い、今後の事故防止対策及びより高度な対応について全職員で確認する。
(2) 事故対応計画
管理者又は代理は、事前に事故に対する計画を策定し、職員や保護者に周知して毎年内容を見直さなければならない。
① 事前情報収集
1)管理者又は児童発達管理責任者は、児童の既往症・アレルギーの有無・かかりつけの医師の有無、健康保険証番号、保護者の緊急連絡先など、事故発生時に備えた情報を収集し記録する。
2)管理者又は代理は、事業所の近隣に所在する医療機関等の診療内容や診療時間等の詳細な情報を収集し、職員に周知する。
3)管理者又は代理は、日常において、保育園における医薬品や救急救命講習修了者等の把握を行う。
4)管理者又は代理は、日常の事業所内の遊具・室内全体・駐車場・敷地内においてあらゆる事故を想定し、その危険を取り除く方策を講じなければならない。
② 事故発生時対応フローチャート
1)管理者又は代理は、事故発生時の対応をわかりやすくフローチャートしたものを作成し、全職員に配布して周知徹底を計らなくてはならない。
事件発生時における予防と対応
事業所における子どもの事件は、近年確実に増加しており、その内容は第三者における計画的・偶発的な犯罪行為であることが予想される。そのため事業所においてできる限りの防犯対策を検討しておくことが必要とされている。また、これまで以上に保護者や地域との連携に努めるとともに、警察等関係機関に協力を求め、子どもの安全確保及び危機管理のための方策を講じることも必要である。
(1)施設面の対応
① 事業所の出入り口の管理
1)事業所建物は児童がスムーズに出入りできるよう考えられているため、建物の出入り口を施錠するのは、現実的でないので園庭と園外との出入り口をできるだけ最小数にして、できるものには、施錠することが望ましい。
2)事業所の運営上支障のない場合は、施錠するように努める。ただし、避難時にはすぐ対応できるように工夫をする。
② 設備等の点検
1)管理者又は代理は、日常的に設備の点検を行い、不備な箇所は速やかに補修等の対応を行わなくてはならない。
2)管理者又は代理は、防犯上必要と思われる設備の検討を職員と毎年行わなくてはならない。
(2)職員・関係機関の対応
① 職員
1)管理者又は代理は、職員一人ひとりの危機管理意識を徹底させる為の会議や研修を計らなければならない。
2)見知らぬ来所者を確認した時の対応を各職員に周知徹底させる。
3)業者等の来所者が作業に当たる場合は、必ず全職員に知らせる。
4)職員への非常通報システムの取り扱いの周知徹底を計る。
5)保育士・児童指導員は児童に対して計画的な安全指導を行う。
6)管理者又は代理は、警察や行政機関等公的な機関からの情報に対しては全職員に速やかに周知し、児童の事務室への移動や施錠の確認等適切な対応を行う。
② 関係機関・保護者
1)必要に応じて、警察(最寄の交番)に警備の強化を依頼する。
2)近隣で事件等が発生した場合は保護者に状況・事情を説明する又は、文書の配布・掲示する。
(3)児童及び職員等に危害が及ぶ事態となった場合の対応
① 子どもの安全確保
1)児童の安全を最優先に考え職員が複数いる場合は、片方が手近な備品で相手に対峙し、もう片方が児童の待避行動を指導して待避する。
2)非常通報システム等を使用し、警察に通報する。
光化学スモック等大気汚染発生時における対応と予防
光化学スモッグとは、自動車やエ場・ビルなどから排出された、窒素酸化物・炭化水素等の大気中の汚染 物質が、太陽の紫外線を受けて複雑な光化学反応を起こしオゾン、パーオキシアシナイトレート、ニ酸化 炭素などの酸化性物質や、アルデヒド等のいわゆる二次汚染物質が高濃度になって発生する現象である。酸化性物質をオキシダントと総称し、また、光化学反応によって生成されたオキシダントのうち、二酸化窒素を除いたものが光化学オキシダントといわれている。この光化学オキシダントが、光化学スモッグの 汚染程度を示す指標とされている。
(1)光化学スモッグ
① 光化学スモッグが発生しやすい気象条件
1)紫外線がある程度以上に強い薄曇りから晴れの日で、気温が20℃以上の日
2)風が弱い(風速4以下)日
3)もやがかかったように視界がかすむ状態のとき
② 光化学スモッグによる人体への影響
1)目やのどが刺激され、チカチカしたり痛くなったりする軽い症状から、めまい・吐き気・頭痛・脱力感・しびれなど全身症状まで含んだ急性症状がある。
2)目やのどの痛みなどの粘膜刺激症状や咳、息苦しい呼吸器症状など人の健康に直接影響がある。
(2)光化学スモッグ注意報等の発令
① 発生要件
1)県内各所に設置した測定局でのオキシダント濃度が基準以上になった時、福岡県環境保全課に自動的に記録され、気象条件からみてその状態が継続されると認められるときに発令される。
② 発令の種類
1)光化学スモッグ予報
2)光化学スモッグ注意報(オキシダント濃度0.12ppm)
3)光化学スモッグ警報(オキシダント濃度0.24ppm)
4)光化学スモッグ重大緊急報(オキシダント濃度0.40ppm)
5)光化学スモッグ学校情報(オキシダント濃度0.10ppm)
③ 光化学スモッグ注意報等発令時の対応
1)児童・職員は、原則として屋内に入る。
2)不要不急の自動車使用をなるべく控える。
⑤ 光化学スモッグによる被害発生時の対応
1)すぐに洗眼やうがいをする。
3)喘息や呼吸器系の病気に罹った児童には、十分に注意する。
4)洗眼やうがいをしても様子が変わらないときや、息苦しさや胸の苦しみを訴えたときには、涼しい通風のある場所で安静にして、医師の診断を受ける。
5)重傷者の場合は 『119』救急通報し救急車を呼ぶ。