感染症対応・対策

はじめに・・・

 株式会社くるみにおける職員が、感染症等に的確かつ迅速に予防又は対応するために必要な事項を定めて、児童・職員の生命・健康を守ることを目的とする。
感染とは、病原体が宿主の体内に侵入し発育または増殖することをいい、その結果何らかの臨床症状が現れた状態を感染症という。病原体が体内に侵入してから症状が現れるまでにはある一定の期間(潜伏期間)があるが、潜伏期間は病原体によって異なるので、児童が罹りやすい感染症の潜伏期間を知っておくことが大切である。
職員一人一人が認識し、感染の被害を最小限にするよう努めることが求められる。職員は、衛生管理に努め、病気を早期に発見し、適切な対応をすることが集団感染を予防するために必要となる。感染症が発生した場合は、直接接触を避けるために、隔離したり、環境を整えたり、消毒をする等の細やかな配慮が必要である

職員の衛生管理

  • 職員が感染源とならないために
    職員は、自らの健康に留意し、日々の生活の中で体調が優れないときは、早めに医療機関を受診すること。特に、インフルエンザ様の発熱時は2日以内に、眼充血や目やにがある場合は、速やかに専門医へ受診する等、早めの対応が必要である。
  • 職員の服装及び衛生管理について

清潔で動きやすい服装、汚れたら着替えられるように準備しておくこと。
爪は短く切る。
衛生管理の基本は、石鹸手洗いにあることを常に意識し励行すること。
蛇口は洗ってから閉める。
手拭きタオルは個人別もしくはペーパータオルを使用する。毎日または汚れたらその都度交換する。
衣類は毎日洗濯し清潔を保つ。

  • 児童の衛生管理について

来所時、トイレの使用後には、石鹸で手洗いをするよう指導し、日常的な手洗い習慣が継続できるよう支援する。
清潔観念や清潔行為に困難さが見られる児童に対しては、できるだけ職員の介助により手洗いを行う。流水と石鹸による手洗いが難しい場合には、消毒効果のあるもので汚れを拭きとる。
児童のタオル個人別もしくはペーパータオルを使用する。清潔なタオルを持って来てもらう。

  • 衛生管理ついて(手洗い)

(1)水で手を濡らし、必ず液体石鹸を使用する。
(2)指、腕を洗う。特に指の間、指先をよく洗う。
(30秒程度。親指に汚れが残りやすいので、注意してよく洗う。)
(3)石鹸をよく洗い流す。(20秒程度)
(4)使い捨てのペーパータオルでよく拭き、アルコールを適量手にとり、手全体を濡らし、乾燥させる。
(5)手に傷があるときは、食品に直接手を触れない。

  • 予防接種にいて
    ワクチンで予防できる疾患は、接種時期に受けるよう、配慮しながら勧める。
  • 注意事項

職員は、喉が痛いときや風邪気味のときは、うがいを励行し、早めに受診すること。
職員は、咳が出るときはマスクを着用し、早めに受診すること。
職員は、感染症の症状が見られる児童の早期発見に努める必要がある。
職員は、日頃から事業所内の環境整備に心掛け、ゴミや汚物の処理をきちんと行うことが重要である。
職員は、感染症が発生したときや発生やすい季節などには、保護者に注意を呼び掛ける他、感染拡大の防止に努める必要がある。

感染症の対応について

  • 感染症対策の基本

「感染源」「感染経路」「感染を受けやすい人」の3つの要素が揃ったとき、感染が
成立する。体内に侵入する病原体の量が多い・感染に対する抵抗力が弱い人ほど感染
しやすくなる。
感染成立を防ぐためにこの3要素それぞれに対しての対策をたてることが有効。感染対策の柱として、以下の3つがあげられる。

①感染源の排除
②感染経路の遮断
③感染を受けやすい人の抵抗力の向上

感染源の排除のためには、嘔吐物や排泄物、体液・分泌物(喀痰・鼻水など)は手で触れず、必ずビニール手袋を着用して取り扱う。また、ビニール手袋を外した後は、手洗い(必要に応じて手指消毒)が必要。
染経路の遮断には感染源(病原体)を持ち込まないこと、感染源(病原体)を拡げないこと、 感染源(病原体)を持ち出さないことが求められる。
そのためには、手洗い・うがいの励行、事業所内の衛生管理が重要となる。また、血液・体液・分泌液・嘔吐物・排泄物などの感染源となる可能性のあるものを扱うときは、ビニール手袋を着用するとともに、これらが飛び散る場合に備えて、マスクやビニールエプロン・ガウンの着用についても検討する必要がある。

  • 感染経路


感染症には、その感染症に特有な感染経路があるため、感染経路に応じた適切な対策をとる必要がある。
感染経路には、以下のようなものがある。
1) 飛沫感染・・・感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に、口から飛ぶ病原体が含まれた小さな水滴を近くにいる人が吸い込むことで感染する。飛沫は1~2m飛び散るので、2m以上離れていれば感染の可能性は低くなる。
(インフルエンザ・アデノウイルス・肺炎など)
2) 空気感染・・・感染している人が咳やくしゃみ、会話をした際に、口から飛び出した病原体がエアゾル化し感染症を保ったまま空気の流れによって拡散し、同じ空間にいる人もそれを吸い込んで感染する。
(結核・麻しん・水痘など)
3) 接触感染・・・感染している人に触れることで伝播がおこる直接接触感染(握手・抱っこ・キスなど)と、汚染された物を介して伝播がおこる間接接触感染(ドアノブ・手すり・遊具など)がある。病原体の付着した手で、口・鼻・目を触ること、病原体の付着した遊具などを舐めることなどによって、病原体が体内に侵入する。
(感染症胃腸炎・腸管出血性大腸菌感染症・薬剤耐性菌など)
4) 経口感染・・・病原体を含んだ食物や水分を摂取することで感染する。また、便中に排泄される病原体が、便器やドアノブに付着していて、その場所を触った手からも経口感染する。
(感染症胃腸炎・腸管出血性大腸菌感染症・赤痢菌など)
5) 血液・体液感染・・・幼小児においては接触が濃厚であること、怪我をしたり皮膚に傷があることで、血液や体液を介した感染が起こりうる。
(B型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルス・HIVなど)
6) 節足性動物媒介感染・・・病原体を保有する昆虫やダニがヒトを吸血するときに感染する。
事業所に病原体を持ち込まない、事業所から病原体を持ち出さないために、職員
は日常から健康管理を心掛けるとともに、感染症に罹った際には休むことができ
る職場環境づくりも必要。

③感染を受けやすい人の抵抗力の向上
1.免疫を与えるためにワクチンを接種する方法がある。
2.基礎疾患がある場合を除いて、保護者にワクチンを接種するよう勧奨する。
3.流行時期が予測可能な感染症については、流行前にワクチン接種を実施する。

感染症が疑われる場合の対応

(1)発疹が出た場合
・麻疹(はしか)、風疹(三日ばしか)、水痘(水疱瘡)、溶連菌感染症、突発性発疹、手足口病などが疑われるため
①予防接種歴、既往歴を確認する。
②発疹の出方、部位、状態を確認する。
③発熱の有無、熱型を確認する。

(2)眼充血・目やにがある場合
・プール熱、はやり目が疑われるため
①保護者へ眼科医の受診を依頼する。
②感染の危険性がないとの診断後、受け入れ可能。

(3)発熱した場合
①37.5℃以上発熱したら、症状、感染症状況、予防接種歴、既往歴などから判断して、必要に応じて隔離する。

(4)その他の症状の場合
・耳の下が腫れている(おたふくかぜ 疑い)
・微熱と咳(マイコプラズマ肺炎・結核・百日咳 疑い)
・嘔吐・下痢(ロタ・ノロ・アデノウイルスによる感染症胃腸炎 疑い)
・下痢・血便(病原性大腸菌疑い)
・高熱と口内炎(ヘルペス性歯肉口内炎疑い)

※上記のような症状があり、感染症の疑いがある場合
→対象児童を隔離する。
→保護者に症状を報告して医療機関受診を依頼する。
→医療機関への受診を依頼し、その結果を事業所へ報告してもらう。
→事務所及び訓練室、トイレなど清掃消毒を行い、感染防止に努める。

感染症が発生した場合の対応

(1)対象児童を隔離する。
・対象児童の健康状態の把握・症状を確認した後、既往歴・予防接種歴を(同室に
いた児童も含め)確認する。
(2)主症状を保護者へ報告し、速やかに保護者に受診をすすめ、結果を報告してもらう。
・病名や症状によっては、関係機関への連絡を行う。
(3)登校(園)許可があるまで、事業所の利用を停止する。
(4)潜伏期間を含めて、感染可能期間は、その発症に十分注意する。
(5)早退・欠席の理由を対象児童の日誌に記載する。
・ 受診状況、診断名、検査結果、回復後の健康状態、回復までの期間などの記録をとる。
(6)感染症の発生の連絡が保護者からきた場合。
→ 発病もしくは潜伏期間と思われる時期を確認する。
→ 接触した可能性がある児童、職員をする。
→ 感染の可能性のある人へ速やかに連絡し、感染の拡大を防ぐための対応依頼を行う。
→ 職員間で情報を共有し、消毒範囲の拡大、手洗いの徹底などを確認する。

二次感染防止に向けた注意点
(1)来所時、本人・保護者が不安、異常を訴えたら受診を勧める。
(2)来所時、視診による把握を十分に行う。
①発疹………耳の後ろ、首筋、胸部に異常はないか
②発熱………平熱がどれくらいか確認
③その他………顔色・機嫌・むくみ・目やに・から咳がないか
(3)非常に機嫌が悪いなど、職員が異常を感じたら、すぐに受診してもらう。

疾病別の留意するべきことについて

■麻しん(はしか)
①予防接種歴、未接種の状況を確認する。
②未接種者は、保護者に予防接種を勧める。
③利用児童・職員の予防接種歴、未接種の状況を確認する。
④体温測定をし、37.5℃以上は自宅安静をお願いする。
⑤未接種児は、健康観察に注意する。

■水疱瘡
①水痘を疑う発疹発生時は、対象児童を隔離し、お迎えを依頼する。
②感染力が強く、接触感染のため接触した児童は72時間以内にワクチン接種をお願いする。
③帯状疱疹は、接触・飛沫感染をするので、水痘発生時と同じく注意がひつようである。
④免疫力が低下している児童は、重症化することがある。

■三日はしか
①平常時から麻しん風しん混合ワクチンを受けているか確認し、接種するようお願いする。

■インフルエンザ
①発生の状況を把握する。
②手洗い・うがいの励行を指導する。
③加湿器などを使用して、湿度をなるべく50~60に保つ。
④職員が感染した場合は、主治医の許可が出るまで自宅療養する。

■百日咳
①咳が出ている児童には、なるべくマスクを着用してもらう。

■はやり目
①対象児童が触れたところは、アルコールで消毒する。
②目やに・眼充血に注意し、異常のある場合は早めの受診を勧める。
③分泌物の取り扱いに注意し、手洗い・消毒を行う。
④タオルは共有しない。
⑤家庭での二次感染に注意するよう伝える。

■とびひ
①皮膚科又は小児科の受診を勧める。
②接触感染のため、患部にガーゼを貼付し、接触しないようにする。
③外用薬は家庭で処置してもらい、外れた場合のみ事業所内で処置を行う。
④手洗いを励行する。

利用児童の情報

(1)罹患歴の把握・日常の健康状態の把握を行う。
※受け入れ時、下記の項目について丁寧に観察する
【顔】顔つき・顔色・表情・活気・目やに・眼充血・鼻水・ボーッとしていないか
【全身】機嫌・爪の長さ・熱・皮膚の状態(発疹・とびひなど)
(2)学校や他の施設の感染症情報の収集に努める。