自閉症スペクトラムについて・・

今回は自閉症スペクトラム障害について、少しお話をしたいと思います。

発達障がいを広い枠組みでとらえた新しい概念が自閉症スペクトラム障害です。「社会性」「コミュニケーション」「創造性」の3つの障害がある場合に診断されます。どんな支援が必要なのでしょうか。

以前は、自閉症や広汎性発達障害などと色々な呼び方でしたが、大きくとらえた新しい概念として「自閉症スペクトラム」という呼び方となっています。

この自閉症スペクトラム障害とは、脳の機能障害です。生まれつきのもので、発達に遅れや凹凸が出てきます。自閉という言葉から自分の殻に閉じこもり引きこもるというイメージを持つ方もいらっしゃるようですが違います。自閉症スペクトラム障害は、3つの障害(特徴)を持つと言われています。

自閉症スペクトラム障害だからといって必ずしも知的障害や言語障害を伴うわけではありません。伴うこともありますが、軽度のものであれば成長するにつれて改善することもあります。

症状はいろいろ挙げられるのですが、同じ症状がずっと続くわけではなく、成長にともなって全く違う症状や行動が現れることも少なくありません。

英語では「Autism Spectrum Disorder」と呼ばれることから、略してASDとも呼ばれる障がいで、どれくらい症状が強く出るか個人差が大きいのが特徴です。

中には大人になるまで自閉症スペクトラム障害であることに気づかない程度の症状が軽い方もいれば、日常生活に支障をきたし社会で生活していくのが難しいほどの強い症状が出る方もいます。

症状の強さや行動の特徴、知的障害や言語障害を伴うか否かによってもその子にとって最適な接し方は変わってくるので、柔軟なサポートが求められる障がいだといえるでしょう。

研究が行われているものの、なぜ自閉症スペクトラム障害になるのか詳しい原因についてはまだ特定されていないのが現状です。しかし、わかっていることがあります。それは、育て方に問題があって起きる障がいではないということ。

病院で自閉症スペクトラム障害と診断されてしまうと、自分の育て方が悪かったのではないか、しつけが厳しすぎたのではないか、十分に愛情を与えられなかったからではないかなど自分を責めてしまう方がいますが、こういったことは関係ないとはっきりわかっています。

治療については、完全に治療することは難しいとされています。しかし、小さいうちから本人に伝わりやすいように接し方や伝え方を変えるなどをすれば発育を促すことは可能です。

●社会性の障害

マイペースで集団生活に合わせられないなどの特徴があります。年相応の常識を身に着けることが難しいことも。場の雰囲気がつかみづらいために、社会生活に必要なことができない問題が出てきます。

●コミュニケーションの障害

まわりの人とのコミュニケーションがうまくいかなくて対人関係に支障が出ます。例えば、呼んでも反応が薄かったり、気持ちを言葉で表すのが苦手だったりします。言葉の裏側にある意味を理解できず人付き合いの暗黙のルールが理解しづらいです。乳幼児期の言葉の覚えたてのときはオウム返しをすることで気づかれる場合もあります。

●イマジネーションの障害

先を読む能力が劣っているために、新しい場面や人に対して臆病になります。目に見えない人の感情や未来のことなどに興味を示しづらいこともあります。こだわりが強くなり、自分の考えに固執してしまうことも特徴です。

その他にも、自閉症スペクトラム障害の人は、感覚的な障害も持ち合わせていることもあります。光や音などに敏感に反応しすぎて日常生活に支障が出てしまいます。

このように自閉症スペクトラム障害は、脳の機能障害により様々な症状が出てしまい本人にとってら生きづらさを抱えてしまうことがあります。

●親はどのような心構えを持てばよい?

親の心構え、と聞くとなんだが大仰な感じがしますが、心構えとしてできる第一歩はまず「自閉症という障害をよく知ること」です。前述したように、自閉症という障害は個人によって出来ることと、苦手なことの振り幅が大きい障害。自閉症と一括りに考えず、その子に合ったケアが求められます。

自閉症といってもその特徴は十人十色で特徴の出方も必要なケアも違うということですね。その子にあったケアを見つけるというのはとても大変な作業ですが、最適なケア方法を見つけることができたら、その子にとって最適な暮らしができるだけでなく、サポートする側もとっても楽になることは間違いありません。

その子に合った最適なケア方法を見つけるためにはまず、何をすべきなのか?それはその子の行動をよく観察することから始まります。自閉症の子はこだわりが強かったり、ちょっとしたことでもパニックを起こして手がつけられなくなることも多いでしょう。しかし、それはなんの理由もなくパニックを起こしているわけではありません。パニックを起こすにはそれなりの理由があるのです。

たとえば、いつものルーティーンではないことをするとパニックを起こしてしまう子もいます。子供が突然パニックを起こすとわけがわからない場合、親御さんもパニック状態になってしまいますよね。

親子でパニックに陥ってしまったら収拾のしようがありません。そうならないためにも日頃からお子さんの様子を観察し、どんな時パニックを起こしやすいのかをきちんと知っておく必要があるのです。パニックの理由がきちんとわかっていると、その原因を取り除くだけなので親御さんも冷静に関わることができるでしょう。

また、お子さんも親御さんもストレスなく快適に過ごすためには日常生活のルールを身につける訓練を行うことが重要になってきます。

★子どもを伸ばす接し方★

自閉症スペクトラムは、見た目には分かりにくい障害です。だからこそ、特に子どもたちは、大人から誤解されることも多いです。集団生活になじむことが難しく、しつけがなってないと思われる行動をする症状があります。しかし、そこには集団やコミュニケーションが苦手であったりする苦しさが隠れています。

大人が思う好ましくない行動をして叱られ続けた子どもは自己肯定感が低くなり、良い結果にはなりません。保護者や学校などの知識不足でうつ病や引きこもりなどの二次障害の問題が出てくることもあるのです。

自閉症スペクトラム障害は、お子さん1人1人が個性を持っています。1つの指導方針では上手く対応ができないことも多々あります。
そこでポイントとして「その個性に対して臨機応変に対応ができる力があるか?」を見極めることが大切になってきます。
くるみでは、子どもの得意、苦手をみつけ、好ましい行動をふやしていくために、多様な方法と、教材を用いて臨機応変に対応し、お子様の可能性を広げていけるようなサポートをしております。

↓興味のある方は是非、御一読下さい。↓

【自閉症スペクトラム障害児・者の家族が抱える問題と支援の方向性:柳澤 亜希子】

次回は、「学習障害について」お話をしようとおもいます。